理念を人事評価制度に反映させる方法

2015年11月25日 執筆: 赤木 浩二  テーマ:

「社長、クレドに書いている項目を実行したら私たちの処遇はどのように変わるのですか?」

あるクライアントの経営者はクレド導入3年後に社員さんから質問されました。

「もちろん、実践してくれたら成果もあがるし、業績にも影響してくる。君達の給与もアップするよ。」

とは答えましたが、仕組みとして確立されていなかったためすぐさま私のところに相談に来られたのです。

「クレドではいろんなことを書いているけれど、処遇はこれまで通り。」では「言っていることとやっていることが違う。」となりかねません。

だから、早速、経営者とそして社員さんと一緒になって 「理念共有型の人事評価制度の構築」 に取り掛かることになります。

でも当時、私は人事評価制度については営業としてお客様にお勧めし導入したことは ありますが、実際に構築に関わった経験はありません!

だからまずはいろんな文献や知人の賃金コンサルタントさんに話を聞いたりして 片っ端から現状を調べました。 わかったことは次の通りです。

1.人事制度に100%満足はない。だから大手は数年毎にくるくる仕組みが変わる

2.制度構築はとても複雑。だから専門知識がないとできない(と思い込んでいる)

3.導入してもうまく運用できているのは一握りしかない

4.公的機関が提供しているようなシートは簡単でよいが、曖昧

5.成果主義に焦点をあてすぎると「お金で動く」社員を作ってしまう

だから中小企業経営者としても 「なんとかしないといけないと思っているが、後回し」 になっているのでしょうね。。。

「中小企業が運用できるような簡素なもので」

「クレドの内容が反映できて」

「評価しやすいような定量的な項目」

「なるべくなら社員も巻き込んで」

「しかも12回くらいのワークショップで」

そんな仕組みにできればとイメージできたので クライアントの経営者の方には「テストマーケティングの部分もあるのですがそれでもよければ」 という了解を得て取り組みました。

 

結果、月2回、6ヶ月間で人事評価制度と賃金制度の構築が完成し、2年間の運用期間が 終わろうとしています。

「理念主義人事評価制度」というプログラム名です。

良かったのは、社員さんを巻き込んだ事です。

関わって頂いたのは主に「項目だし」です。 「成果をあげるために重要な業務は何か」と言う事です。

例えば、以下の営業マンのケースで考えるとこの会社の重要な業務は何ですか?

Aさん・・・訪問件数は多いが、ほとんど飛び込み、成約につながっていない。

Bさん・・・訪問件数は少ないが、全て確定アポ。しかも一度面談したお客様の次のアポを決めて 終えるケースが多い。成約数も確実にあげている。

ご覧のように「次回アポを取る事」ですね。

そうすると評価シートの重要業務の中に「次回アポを取る」というのが入ります。 成果をあげている方はすでにわかっているのですが、「仕事のコツ」って一つの仕事の中で そんなにたくさんはないのです。

せいぜい、7個。あっても10個ぐらいで事は足ります。

それを対象メンバーで出し合って共有を図ると「うまくやっているやり方」がわかるので 焦点が絞れます。 社長が口を酸っぱくして言わなくてもいいわけです。

 理念主義人事考課制度の構築ステップは以下の通りです。

Step1 人事評価シートを作成する ・作成チームを結成 ・ワークショップ形式 ・「成果」「プロセス」「重要業務」「知識、能力」「態度」で区分

Step2 賃金表と昇給、昇格制度をつくる ・どこから反映していくかによって変動

Step3 人事評価制度説明会の実施

Step4 トライアル評価

・評価者の評価プロセスの理解、評価基準の改善

・評価者の評価スキルアップ

・賃金額、昇給、賞与原資の妥当性

Step5 運用の仕組み準備

・ツール、ルールの整備

・委員会、教育計画の策定

・ミーティング体系の策定

 

中小企業の場合は、そんなに複雑な評価制度を構築するだけの暇も時間も ありません。

ましてや規模が小さい場合は、経営者と社員の距離が近いので 「誰がどんなことをやっているか」ある程度わかります。

しかし、経営者が全てを把握できているわけではありません。

だから、「何をもって処遇しているか」という基準は必須ではないでしょうか。 もし仮に評価制度がなかったとしても給料を払っているとしたら「何らかの評価」 をしています。

それが、仮に本来の仕事とは関係ないことだとしたら 「社長の顔色をみて仕事する」 「社長の言うことだけを聞いておく」社員を生み出すことになります。

後回しにしてきたツケがそろそろ大きなリスクとして迫ってきているような気がします。

「今までは経営者の一存で決めてきたが、賞与を支払う基準が欲しい」 「これからの若い優秀な社員が頑張れるような仕組みにしたい」「成果だけでなく理念をどのように実践しているか、を評価に反映させたい」

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