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アルバイト生活から大手情報会社の契約社員を経て、独立。振り返ると、困難や失敗の数は少なくない。それでも歩みを止めなかった理由は何か。試行錯誤の末、男がたどり着いた先とはーー。

Profile

赤木 浩二(あかぎ こうじ)

株式会社WISHパートナーズ代表取締役、マネジメントコーチ
1965年岡山県生まれ。1985年大手情報会社に営業のアルバイトとして入社。1992年に退社後、デザイン、研修会社の役員として会社設立に参画。1999年全国FCを運営するベンチャー企業に転職。2004年販促とマネジメントのコンサルタントとして独立、株式会社WISHパートナーズを設立。「顧客や社員に想いのある会社を世界中に」をミッションとして活動している。著書に『自分で考え、動き出す組織のつくり方』(セルバ出版)『ブランディングの法則』(日本建築出版社、共著)。トレイルランニングが趣味で最長完走距離は129キロ。

幾度となく訪れる困難。ポジティブさと鈍感力で前進

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岡山の生まれで、いわゆる進学校に入ったのですが、大学には進みませんでした。高校時代にアルバイトにハマって、働く醍醐味を知ってしまったからでしょうね。一分でも一秒でも早く社会に出たかったんです。ファミリーレストランや喫茶店のウェイターを経て、高校卒業後はショーパブで働いていました。仕事柄、お客さんのグチや悩みを聞くことも多く、思い返せば、今につながるいいトレーニングになっていましたね。

でも、その世界で勝負し続ける覚悟には至らず、20歳になったとき、リクルートの契約社員に応募し、現地、つまり岡山採用の営業スタッフとして働くことになりました。売上成績が良くて、自分のことをデキる営業マンだと思い、27歳で退社。リクルートの先輩と、コピーライター、デザイナー、営業の組み合わせで起業しました。でも、まったくうまくいかなかったんです。1年の売上げが200万円以下。結局、お客様は、私ではなくリクルートという看板にお金を出していたことを思い知りました。セールスは、お客様からの信頼があってこそ成り立つものであることを学び、そこからは、お客様との信頼関係づくりに力を入れるようになりました。

といっても、なかなかすぐにはうまくいきませんでした。次の起業は、最初は順調だったものの3年で解散。その次は、当時のクライアントがフランチャイズ展開をするから「ぜひ来てほしい」と誘われて移籍。最初は面白いように事業が拡大して、1年で従業員が8人から108人に。年商も1億8000万円から20億円になりました。当時私は、フランチャイズ本部長を務めていて、給料は月額80万円。翌年に上場も予定していて株を買っていたのですが、親会社の破綻と共に事業清算を余儀なくされました。37歳のときのことです。

食べていくには何かやらないといけなかったので、落ち込む間もなく2004年に住宅販売会社や工務店向けのウェブコンサルティング会社を立ち上げました。他に選択肢がなくて独立したようなものでした。それが、今も代表を務めるWISHパートナーズです。WISHパートナーズをスタートさせてからも、預金残高が216円しかないような時期もありましたね。ただ、私という人間は基本的にポジティブな上、鈍感力も兼ね備えているので、どんなに厳しい状況でも、ともかく前に進むことを止められないんです。試行錯誤を繰り返し、日々挑戦する中で「クレド」づくりや「マネジメントコーチング」と出会い、今の事業の根幹を作りあげるに至りました。

企業の課題と向き合い、目標達成を支える仕事へ

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今の仕事を一言で説明すると、クライアントの目標達成のサポートです。その企業がどのような課題を抱えているのかを引き出し、その課題と皆さんが正面から向き合い解決策を出し実行するためのプロセスをサポートします。

「クレド」とは、ラテン語で「志」「信条」「約束」といったことを意味する言葉です。企業の価値観や存在意義、仕事の姿勢、商品・サービスの姿勢、レベルを文章で明文化することで、社内への浸透を図り、社内風土を育みます。一般的には、ザ・リッツカールトンホテルのクレドが非常に有名ですね。あるとき、ひょんなことからクライアントのクレドづくりをサポートすることになり、そこから勉強して、今では20社以上のクレドづくりを手がけました。最短でも1年かけて、企業のミッション、ビジョン、バリューを考え直し、社員のみなさんと一緒になって、自分たちが取るべき行動指針を言語化し、行動を変えていくための具体策を練ります。自分たちは何を大切に考え、どういう価値を提供する企業なのかを明確にし、自分たちの行動でそれを示すことは、モノがあふれる今の日本経済で「選ばれる企業」になるための必須活動だと思っています。

「問題解決を止めているものは何か?」「どのようにすれば一見不可能に見えることを可能にできるか?」現状を打破するために時にはクライアント企業の中の人が「目を向けたくないところ」にも焦点をあてるのでその瞬間は沈黙が続いたり中には出席拒否される方もいらっしゃいます。そんな時は若い頃の失敗経験を生かして、一人一人と丁寧に向き合うことで信頼関係を築き、最終的には全員から会議への参加を楽しみにしてもらえるような進め方を心がけています。

これらの活動を通して、企業内の風土や行動習慣が変わり、業績や雰囲気が改善したというクライアントが増えています。今後も、これまでとはひと味違う成果を出したい企業が主体的に変革できるよう、サポートに努めたいですね。

困難を一つ一つ自分の力でクリアし、ゴールに向かう。それが人生

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正直に言って、これまでの人生、困難や失敗は多いほうだと思います。若い頃に、これまで経験したノウハウやロジックを知っていれば、これほどまでに失敗を繰り返さなかったでしょう。自分は何のために、この事業をやっているのか。ミッション、ビジョン、バリューをはっきりと持てていなかったので、売上げを上げても自信が持てなかったし、ビジネス先に芯のある提案をできていなかった。会議をしていていも、課題の本質に切り込むやり方を知らず、その勇気もなかったので、重要な意思決定ができていませんでした。これらの過去の苦い経験があるからこそ、今、同じような状況にいる企業のサポートができるのだと思います。主体的に変革することの効果を、身をもってお伝えできますからね。人も企業も、いつからだってどこからだって、変われるのです。

趣味では、トレイルランニングに打ち込んでいます。始めてから8年ほどで、これまで出場したレースの最長距離は129キロ。2019年には160キロのレースに初挑戦します。山を走っていると気分転換になって本当に気持ちがいい。ゴール後にバーンと倒れ込むくらい苦しいのですが、でも現実世界を生きるしんどさに比べたら、走っている間の苦しさなんてゲームです。でもゲームながら、その時に起こる困難を一つ一つ自分の力でクリアしていくところには、仕事と同じ面白味がありますね。足が痛くなったり、水も飲めないような状況になったときも、全部自分の責任で解決し、ゴールに向かう。そういう意味で、人生に似ているのでしょうね。今の「走れる」状況に深く感謝し、これからもポジティブに困難に立ち向かい、チャレンジし続けたいと思います。

私がこの仕事をしている訳

Message

ある日、クライアント様の事務所で打合せを終えて帰り支度をしていた時のことです。
一人の事務スタッフの方が近づいてこられて私にこうおっしゃいました。
「今更新しい仕組みを導入したところで何も変わらないと思っていました。これまでも似たような事をやってましたからね」
「でも赤木さんは違った。私たちの会社は全く変わりました。私も仕事は『生活のために我慢するもの』と思っていましたが、今では毎日仕事を楽しめるようになりました」
「赤木さんの仕事って素晴らしいですね!」
私はびっくりしました。と同時に、「こんなシーンをたくさん作る事が私の仕事だ」と強く感じたのです。
Fさん、あなたのお陰で今日も素晴らしい方に恵まれて仕事をさせて頂いております。
ありがとう!

株式会社WISHパートナーズ
代表取締役 赤木 浩二

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