私はトレイルランニングという山を走る(歩く)スポーツをやっています。
5年前、偶然であった友人から話を聞いてトレーニングに連れていってもらったのが最初です。 落ち葉の上をザクザクしながら駆け下りるのは子供の頃に野山で遊んだ感覚と同じでした。
「これは面白い!」ランニングなんてしんどいだけのスポーツには全く興味がなかったのにこの体験から徐々に入り込み今では年間最低でも6回程度のトレランレースに出かけるようになったのです。
最初は10kmそして20km、30kmと距離を増やしていき昨年春には六甲山を縦走する大会にも出場し、なんとか完走できるところまで来ました。
「そろそろ、ロングレースにチャレンジするかな」と思い、9月に開催され信越地方の5つの山々110kmを走る人気レース「信越五岳」にエントリーしたのです。
参加費25000円で2泊は必要なこの大会はトレランをする人にとっては愛着のある有名なレースで昨年から抽選になったほどの人気です。
そんな大会に初めて参加した感想はひと言。
「全てに甘かった。完走したけど達成感まるでなし。」
信越にエントリーされる方は走力はもちろん、大会に出るための準備、コンディションの調整、レース中のシュミレーションに至るまで細部に渡り、よく考えて準備をされている方ばかりです。
「こりゃ、僕のくるところじゃなかったかも」とまで感じました。
レース中も気持ちが負けていたのでしょう。走れるところでも歩いてしまい、とてもやりきった感覚はありませんでした。
だから制限時間ギリギリでゴールした瞬間も「あ、終わったな」というだけで全く感動も何もなかったのです。
タイムはその時の体調や気候が大きく影響するのでばらつきはあると思いますが、「与えられた環境の中で精一杯やった。」ということがなければ、満足感は得られないと感じました。
でも「結果はどうあれ、全身全霊で取り組む」と決めた瞬間に信じられないほどのパワーが出るという体験をそのあとしたのです。
10月に開催された氷ノ山71kmのレースでは信越の反省があったので「最後の20kmの林道でスパートする」と決めていました。
するとそれまでのヨタヨタが嘘のようにまさに疾走できて20kmでごぼう抜き、目標だった14時間切りも達成できケガもなくゴールすることができたのです。
それでも順位は下から数えた方が早いので大した成績ではありませんが、私としては最高に嬉しかったです。
1ヶ月ほど前に信越の完走記念の木製のたてが届きました。
21時間40分。制限時間が22時間なのでほんとギリ。
まあ、これも今の実力ですね。
このたてを見る度に「お前!全身全霊でやってるか?」と言われているように感じます。